今年(2014年)の4月あたりから株式会社リブセンス(東証1部)という「成功報酬型」の求人情報メディアなどを運営する企業の業績が急激に悪化している事がニュースになりました。
Webコンサル業界では昨年(2013年)の夏前あたりからしきりにささやかれていた経営危機ですが、この話題は一企業の経営にとどまらずにネットマーケティングを事業に少しでも取り入れている企業にとって他人事ではない非常に大きな問題を含んでいます。
今回は、リブセンスのニュースを読み解きながらSEOの今後を考えてみたいと思います。
リブセンスは「SEOを商品にする企業」だった
リブセンスの事業はあくまでも成功報酬型の求人サイト運営ですが、業績の悪化は収益が下がったからではありません。
「検索順位が下落し、その穴埋めとして多額の広告費用が必要になったために利益のほとんどが消えてしまった」という図式です。
要は求人サイトはただの広告出稿の場という位置づけでしかなく、企業としての商品は「SEO」だったということです。
その証拠にリブセンスは2012年とピークに様々なネットマーケティング系サイトにその名前を露出し、「リブセンスSEO対策研究 営業利益率45%を超える上場企業の作り方」というSEOのセミナーを頻繁に行っていました。
2013年5月の改変後に急激に営業利益が悪化
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが昨年5月末の検索順位決定プログラムの大幅な改変により、歯科医院Webサイトの順位は大幅に変えられてしまい、あまり対策を行っていないサイトが上位に来たり、情報が多い価値の高いサイトがランク外になってしまったり現在にいたるまで、人為的に順位を上げる事が非常に難しい状況になっております。
歯科の場合は、来院して治療するというビジネスモデルゆえにSEOでの順位変動で来院数には実際のところほとんど影響はありません。
しかし、リブセンスのようにSEOを商材にしている企業は利益に直結しますのでSEOに強みを持てないと突然利益の全てがなくなってしまいます。ニュースにはなっておりませんが、SEOを商材にする企業のほとんどはSEOから撤退を始めているかSEOの定義を変えてビジネスモデルを変更しています。
※「SEOの定義を変える」とは下記のように言葉の指し示す成果を 微妙に言い変えている事です。
「SEO=順位向上」→「SEO=サイトへの訪問者数を増やす」
有名企業が次々に撤退
リブセンスのSEO失敗はなんとYahooニュースのトップにも掲載されていました。
検索サイトはSEOではなく、スポンサー広告をおこなって欲しいと思っています。なぜなら、SEOは他業者へ報酬が支払われますがスポンサー広告は検索サイトの収益になるからです。
実はYahooもGoogleもSEO業者を目の敵にしているので、世の中にそのような業者を晒したいと考えても不思議ではありません。
しかし、おかげでSEOを人為的に行う事が難しい時代になった事を世の中に発信した事だけは事実です。
GMOグループなど、SEOを商品にしていた有名企業がのきなみ業績を悪化させ次々に撤退をしている事も今後、検索順位を人為的に上げる事が事実上不可能になる事が伺えます。
検索サイトからの「警鐘」
リブセンスのニュースと合わせて今週の日曜日にYahooニュースに以下のようなニュースが不自然に掲載されていました。
Yahooニュース:リブセンス決算で改めて注目、オーサーランクとは?
リブセンスのニュースはSEO依存の企業が窮地に陥るという趣旨のものでしたがこれはSEOの具体的な方法論について書かれています。
うがったものの見方かもしれませんが、旧来の人為的なSEOに対して考えを改めよという検索サイトからの「警鐘」ではないでしょうか。
リブセンスは東証一部に上場しておりますが新たな資金調達をして別のビジネスモデルを早急に打ち立てないと資本とビジネスモデルを持つ企業にM&Aされてしまいます。そうならない為の「警鐘」です。
したがってこの記事はSEO依存の企業サイトがどうあるべきか前向きに考えれば検索サイトからの「提案」と受け取る事が出来るのです。
次世代SEO? 「オーサーランク」
さて、それではこの「オーサーランク」とはどのようなものでしょうか。一言で言えば「WEBサイトのオーサー(著者)の評価」の事です。
Webサイトの内部に「誰がこのページを書いているのか」を明記してその著者がどの程度専門知識を持った人間か、組織と言う箱ではなく個人にフォーカスをあてた「順位」を重視するという事です。
まだ移行までに数年かかるとの見通しもありますが、検索サイトは徐々にサイト内のテキストを書いている人間にフォーカスをあてたSEOに切り替える事でしょう。
歯科業界に置き換えると、歯科医院(Webサイト)への権威で判断されていた順位を歯科医師(個人)への権威判定により判断するという流れになります。
歯科医師として「患者の利益になる専門的な情報」をどれだけ発信出来るかが順位を決める重要項目になってくるのです。
患者が検索をした時に上位に来るサイトは「オリジナリティがあり、論理的に患者目線での歯科医療について誰にでもわかりやすく多数の情報を発信出来る歯科医師」である事を指示しています。
SEO業者の被リンクの数が順位決定をしていた昨年までと違い、これからは歯科医師の情報発信能力で順位が決定する仕組みに変わってきます。
この事実に、喜ぶ先生や落胆する先生など様々だと思いますが今日からできる「権威付け」を行ってみてはいかがでしょうか。
ブログなどで、お名前を明記して患者利益になるための歯科医療情報を発信し続ける事で検索サイトから「価値の高い歯科医師」と認知させるブランド化は未来を見越した、SEOの第一歩です。