IoT:Internet of Things(モノのインターネット)という言葉をご存じでしょうか。
一般には2014年あたりから普及し始めている言葉です。
IT業界にいる人間はさらにその前から「これからの時代に必ず訪れる世界」とい認識でで確実視されているある技術浸透を指していました。
一般的に情報が普及すると3年程度経過してから歯科界に情報が届いてくるタイムラグに今回も合致して今年に入ってから、歯科の話題でIoTのニュースが登場する事が非常に多くなりました。
いまさら聞けない「IoT」とは
IoT:Internet of Thingsは「モノのインターネット」と呼ばれています。
インターネットは元々パソコンが電話回線を通じて情報のやり取りをするものでした。
しかし、今では携帯端末で容易にインターネットに接続する事が可能で、携帯=インターネットだと認識している人が圧倒的ではないでしょうか。
モノのインターネットとは、PCやスマホなどこれまで使用されていた通信機器ではなく、「様々なモノをインターネットに接続」してしまい、新しい機能を付け加える事として世の中をさらに便利にしようという考え方です。
最近では、車や家電製品(冷蔵庫やエアコン、オーディオなど)をインターネットに接続するサービスが登場していますが2016年現在ではさらに多くのモノがインターネットに接続し、コントロール出来るようになっています。
この流れは最終的に、当然のように歯科界へもたどりつきます。
歯ブラシが指導しながら口腔内環境をリサーチ
某家電メーカーが開発した無線通信(bluetooth)で歯ブラシとスマートフォンを連動させる電動歯ブラシを開発・発売している事をご存じの方も多いのではないでしょうか。
数社から発売されていますが、例えばブラウン社の製品はスマートフォン内に表示された歯列図にどの程度磨けているかの表示やブラッシングガイドに従って口腔内をくまなくブラッシングできるようになっています。
よく磨けているところ、磨けていないところなどを把握するだけでなく、歯ブラシを押しつける強さを測定して最適な強さを表示する機能や、日々のブラッシング履歴をグラフ化して確認する事が出来ます。
まるで、Webサイトのアクセス解析です。
そして何より気になるのはその後に表示される「歯科医師に相談」というボタンです。
これはブラッシングの後に歯科医院へ予約を入れる事が出来るボタンです。
最も口腔内への関心が強いブラッシング時に予約を取らせるという事が、「便利」という名目で作られたIoTが以下にマーケティング的にも優れたものかを物語っています。
近い将来の歯科衛生士は毎日のブラッシングをネットを介して把握する事に
今はまだスマホと歯ブラシの連動です。
しかし近い将来にはブラッシングデータがインターネットからかかりつけ歯科医院のデータベースに格納され、歯科衛生士は患者の日々のブラッシングの状況を全て把握する日が来るかもしれません。
定期メンテナンスはスケーリングとデータチェック(患者と日々のブラッシングデータを検討するカンファレンス的なものも含めて)が主になるかもしれません。
今IT業界は人工知能の話題(botと呼ばれています)で持ちきりですが、TBIはスマートフォンを通じて人工知能が行う未来が容易に想像されます。
歯科医師・歯科衛生士の必須スキルに「IT」が追加される日
IoTや人工知能は様々な人間の仕事を奪ってしまうと言われていますが、歯科業界も例外ではありません。
インターネットや人工知能に出来ないところに医療サービスや人間関係が生み出す健康への啓もうを見出す事が、新たな歯科医療サービスを作り出す第一歩だと言えます。
まだ非現実的ですが、電動歯ブラシの中に唾液検査の機能を実装する事が出来たら定期メンテナンスという言葉は口腔内だけの限定された名称ではなくなり、予防歯科という言葉は新しい意味を生み出す事でしょう。
近い将来、歯科医師・歯科衛生士の求人要綱に「IT」という項目が付け加えられる日もそう遠くないのではないでしょうか。