ミーティングでWebサイトリニューアルについてのご相談をいただく事が多くなりました。これはスマートフォンからのアクセスが飛躍的に増加している事や新興の競合サイトが乱立する事など理由は様々ですがその中でよく出てくるフレーズがあります。
- 「スポンサー広告で億単位の収益を上げている医院がある」
- 「SEOで新患が数倍になった医院がある」
昔からのFAXDMに書いてあるような事柄ですが、都市伝説のように実しやかに伝わっているようです。真実であるか願望であるかは別として、インターネットを活用した「一人勝ち理論」が歯科業界に適用されるのか今回は考えてみたいと思います。
一人勝ち理論
商圏内に自分を含めて10医院あると仮定します。患者は10医院の中から自分が通う歯科医院を選定します。その為のツールが口コミなどの口伝情報、Webサイトなどです。
10医院がまったく同じ条件、情報で診療をしていれば患者はどの医院に行くべきか迷うことでしょう。5医院が魅力の無い医院、5医院が魅力的な医院だとすれば患者は5つの医院の中からさらに条件を絞り、最後には「直感」で医院を選ぶかもしれません。
これはこれで良いのかもしれませんが5分の4の確率で「直感で負けてしまう」という事態に陥ります。
これでは経営基盤の脆弱さは消す事ができません。そこで、自分だけを魅力的にして、残り9医院を同列の医院として埋没させる事が出来れば患者は最初に「自分を選ぶ」という一人勝ち状態を作る事が出来ます。
一人勝ち状態になればまず、経営基盤が強化され新たな投資を人や設備などに投下する事が出来ます。そしてその投資がさらなる一人勝ちを確実にさせて、マーケットを一人占めする事が出来ます。
誰もがそうあってほしいと思う夢のような理論です。
一人勝ち理論はWebマーケティングの鉄則
歯科以外の他業種、例えばネット通販(商材問わず)や国家資格保持者が必要のないサービス業などがWebマーケティングを検討する事は、ビジネスを成功に導くうえでもはや必須事項として認識されています。
しかし、インターネット上のWebサイトは簡易ブログも含めれば誰にでも簡単にローコストで参入出来る「魔法の箱」と安易に認識されています。したがって競合が非常に多い点に反比例して「一部の収益を上げているサイト」と「大多数のまったく収益が上がらないサイト」に分別れます。
もちろん歯科医院のような立地に起因するエリアマーケティングの関係無いオンラインショッピングであれば露出(検索順位)が非常に大きな収益見込みの基準になりますし、露出なくして収益を上げるサイトへの仲間入りは難しいことでしょう。(歯科医院へSEOやスポンサー広告の営業が後を絶たないのは他業種でのSEOやスポンサー広告の競争に敗れた企業が歯科業界へ事業方針を変えているからです)
サイトの露出に限らず、「一部の収益を上げているサイト」の仲間入りを果たすには一人勝ちという状況を作り出す以外にビジネスが成功する方法はありません。
商圏の狭い歯科医院には有効?
一人勝ち理論はインターネットに限った事ではありません。インプラントなどの精度の高い治療を訴求したい場合CTなどの設備面で他の医院と差別化を図る事も多いと思いますがこれも立派な一人勝ち理論の一つです。
実は、昨年秋に歯科医院のWebサイトを専門に制作、管理している企業の方とお話をする機会がありました。あえて企業名は伏せますが、1医院の平均アクセス数が弊社で管理しているWebサイトの平均アクセス数とはかけ離れた数字にその時は驚きましたが、よくよくその企業が作成したサイトを見ると理由は明白でした。
基本情報に診療内容の解説のみでトップページに派手なボタンが並ぶものの「競合に勝つための内容」が非常に希薄と言わざるを得ない状態でした。
逆説的にではありますが、弊社管理のクライアント様サイトでアクセス数が多い医院様は、経営的にも順調で他医院との差別化を徐々行っている医院様が多いというデータが出ております。
サイトの内容を見ると、他の医院がやっていない事、出来ない事などを訴求して「一人勝ち」への道をゆっくり歩いているような印象です。
大切な事は、商圏内には一定数の患者予備軍がいてその大多数はどこかの歯科医院に通っていて、そしてその患者予備軍は限られた歯科医院サイトを「選択のツールとして」活用しています。
他の医院でも載せている情報を載せても、インターネットの情報の中で埋没してしまうだけですので、まずは競合のサイトをよくご覧頂いて、自医院サイトと同じ情報と違う情報を見比べてみてください。違う情報が無いWebサイトは良くも悪くも「大多数」に区分されています。
勇気を持って他の医院とは違う情報を掲載している医院サイトは、一人勝ちの道を歩いているかもしれません。